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【プラスチック製品用 金型向け商品】マーキング用金型部品とは?

~成形品に情報を刻むための仕組みとその役割~

射出成形やブロー成形など、様々な成型方法によって製造されるプラスチック製品・部品には、製造日やロット番号、個別の識別情報などが刻印されることがあります。これらの情報は製品・部品のトレーサビリティを確保するうえで重要であり、品質管理や不具合対応を迅速かつ的確に行うための手がかりとなります。

では、それらの情報はどのように刻印されているのでしょうか?
本記事では、マーキング用金型部品と呼ばれる成形工程の中で情報を成形品に刻むための機構について、基本的な役割や種類、使用シーンをご紹介します。

■ マーキング用金型部品とは?

マーキング用金型部品とは、金型の一部に組み込むことで、成形品に製造情報や識別情報を直接刻印するための部品です。刻印は成形と同時に行われるため、追加のマーキング工程を必要とせず、マーキングに掛かる工数を0秒とすることが出来ます。

成形品に直接情報を刻むことで

  • マーキング工数0秒の為、サイクルタイムを短縮出来る
  • マーキング作業を別工程にせず製造ラインの一体化が可能
  • 印刷やシールによる表示と異なり、消えにくく耐久性が高い
  • 製品1個ごとに確実に情報を残せる

といったメリットがあります。

金型部品の主な種類

マーキング用金型部品には用途や表示内容に応じて様々なタイプがあります。以下は浦谷商事が扱っているマーキング用金型部品です。

 

● デートマーク

製造年・月・日などの情報を刻印するための基本的な部品。時計のような形状で、マイナスドライバーなどで表示を変更できます。

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●自動回転式デートマーク

自動回転式デートマークは、空気圧を動力源とし、インサイドアローが持ち上がると同時に内部機構により矢印が次の表示へ自動的に切り替わる構造です。
回転のタイミングは押しボタンやフットペダルなどのエアー開閉装置を用いて任意に設定でき、成形機の稼働を停止することなく成形中にワンプッシュで日付表示の切り替えが可能です。

表示部は10分割・12分割・31分割に対応し、年月日などの一般的なデートマーク表示に加え、ABCなど任意の文字設定も可能です。
インサイドアローは通常のデートマーク同様、金型を分解することなくPL面から交換できます。

従来、日付切り替え時には成形機を停止し各デートマークを手動で回転させる必要がありましたが、本製品を導入することでその作業が不要になります。
特にマルチキャビ金型のように複数個取りの場合でも、すべてのデートマークをワンプッシュで一斉に切り替えることができ段取り時間の短縮と成形効率の向上に大きく寄与します。

また内部機構によりインサイドアローは正確に次の数字を指す構造となっており、切り替え時以外に誤って回転することはなく表示ミスや成形不良のリスクを低減します。

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● 自動ナンバリング金型部品

成形時にシリアルナンバーやロット番号などを製品に自動でマーキングできる金型用部品です。
空気圧を動力源とし、金型の開閉動作をセンサーで検知。PLC制御により適切なタイミングで表示が自動切替されるため、製品1個ごとの連番マーキングが可能です。

使用する部品の数を増やせば桁数の拡張にも対応でき、1000個以上の固有番号も付与できます。
後工程での印字作業が不要となり、トレーサビリティが求められる自動車や医療機器の製造現場で特に有効です。

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● QRコード金型部品

射出成形品にQRコードを直接マーキングできる金型用部品です。型番・品番・URL情報などの固定情報の付与に適しており、後工程でのラベル貼付やレーザーマーキングが不要になります。

成形時にQRコードが製品表面に凹凸状で再現され、読み取りの精度は使用樹脂の色や表面状態、凹凸の段差や読み取り機の性能により異なります。当社では、事前に読み取り確認ができる成形サンプルの無償貸出も行っており、導入前の評価も可能です。

成形サンプルお貸出しについてはこちら

QRコードを通じて、トレーサビリティシステムとの連携や、製品ページ・取扱説明書・購入サイトへの案内など、多様な情報展開が可能です。コード内容の変更はできませんが、QRコード金型部品を交換することで情報切り替えにも対応できます。

特に、自動車業界では品番や型番の識別用として、住宅設備・OA機器・日用品などの業界では各種マニュアルやオンラインサービスへの導線としての活用が広がっています。

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● スイッチマーク

金型を分解することなく、成形品に表示する情報を簡単に切り替えられる金型用部品です。表示内容としては、材料種別やロゴマークなどの部分的な識別情報の変更に活用されています。

この部品は「リング」と「軸」に分かれた構造で、リングを金型に固定し、表示情報が刻まれた軸を指で押し込むだけでセット可能。内部には回転止め機構が組み込まれており、一度取り付けた後は成形中に軸が動く心配がありません。また、専用治具を用いれば、金型を開けることなくPL面から軸だけを簡単に取り外すことができます。

成形品や金型そのものは変更せずに、情報だけを切り替えたいとき、例えば材料変更やロゴの差し替えなど、段取り替えにかかる作業時間を大幅に短縮できる点が大きな特長です。

表示内容は軸のサイズに収まる範囲で自由にカスタマイズ可能。現場のフレキシブルな対応力を高める、実用性の高い金型部品です。

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■ 使用されている業界・用途

マーキング用金型部品は、特にトレーサビリティが重視される業界で広く採用されています。

  • 自動車業界:安全性やリコール対応のため、製品の製造履歴管理が必須
  • 医療機器業界:衛生管理と個体識別のため、厳格なトレーサビリティが求められる
  • 住宅設備・日用品:ロット管理や不具合時の原因追跡を目的として導入

また、近年では製品単位でのデータ管理やDX推進の一環として、マーキング情報の活用範囲が広がりつつあります。

 

■ まとめ

マーキング用金型部品は、成形品に直接情報を刻むことで、製造現場の効率化・品質向上・トレーサビリティ強化を支える重要な技術です。種類や機能も多様化しており、製品や業界のニーズに応じた選定が可能です。

浦谷商事では40年近いデートマークの製造・販売のノウハウを生かし、様々な金型部品の開発・製造・販売をしております。

成形品へのマーキングで、お困りごとがございましたら、お気軽にご相談ください。

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